株式会社A・M・W 代表取締役 平澤 美佳
私たちが取り組む『茨城町の里山におけるSDGsモデル里山循環事業』を紹介いたします。
前提として、納屋Caféとしもはじ埴輪キャンプ場は、NPO環~WAの活動の中で整備した土地の有効利用と間伐や伐木された木の利活用、整備する際に必要な機械や燃料の資金を生み出し、保全し続けるための営利事業として運営されています。
現在、私たちの会社では飲食店とキャンプ場の2つの事業運営、他に無農薬栽培の農園や園芸などもしています。弊社のテーマは【農地利用と循環】です。これまで運営してきたことによっての効果や実績について事業ごとに紹介いたします。
キャンプ場について

まずキャンプ場は整備した土地を利用しながら環境維持や再生、整備で出た木の利活用を目的としており、取り組みに賛同していただけるお客様が利用できる会員制キャンプ場です。
一部のキャンプサイト(林間サイト隠れ家ゾーン)はスタッフ補助の元、キャンパー様自身が整備し理想のサイトを作り、保全するプロジェクトも行われ、今では半プライベートサイトのような空間で、他のお客様にも人気のスポットになっています。
キャンプ場での保全活動の例として、栗の木や芝、植物の根を痛めるため、車やオートバイの乗り入れを禁止しています。また直火が楽しめるキャンプ場として、サイト指定や直火をするにあたってのスタッフからのレクチャー及び野芝の種の購入と播種のお願いを徹底し、環境に配慮したルールを設けています。他にも洗い場で使用する洗剤は設置している自然由来のヤシの実洗剤のみの使用や、焚き火台を使用する際も芝が燃えないよう、防火シートの使用を義務づけて環境保護に努めています。
キャンプ場利用に伴い、お客様自身が落葉や落枝を使用し、着火剤を使用せずに火起こしができ、自然のものを加工せず利活用しています。また里山保全活動の際に整備で出た木から薪やスウェーデントーチ、薪割台を作り、販売、使用することで里山の循環をしています。
このような取り組みをしてきて少しずつではありますが、新聞や雑誌、ラジオにテレビなど、多くのメディアにも取り上げられ、企業からのフィールド利用や県の推薦での依頼も来るようになりました。
多方面からの情報また口コミのおかげもあり “またここでキャンプがしたい!” や “また来ました!” といったリピーター様も増えています。コロナ禍でのキャンプブームもあり、多くのお客様にご来場いただきましたが、当キャンプ場の取り組み、大切にしている環境への配慮や環境保全が、キャンプを通じて一人でも多く意識して頂けるきっかけになればと思います。
環境保全の一環で始まった、しもはじ埴輪キャンプ場ではありますが、半数以上のお客様が県外からで、自然豊かな茨城町、茨城県の魅力の一つとしても伝えられているのではないかと思います。
納屋Caféについて

次にカフェについてです。建物は、物置小屋として使われていた納屋を、DIYでリノベーションし、設備を整え2018年にNPO環~WAがレンタルスペースとして設置しました。月日を経て会社の一事業になり、2020年3月から納屋caféの店舗として営業しています。
納屋caféのコンセプトとして『地産地消』があり、実際に地元のお野菜やお米、茨城県産のお肉などを取り扱っています。
近年、地球温暖化の影響で、日照不足や災害によって農作物の不作やB品といわれる規格外品がより多くなっていることもあるようで、カット野菜やジュースなどの原料となる加工品に出荷することも出来ますが、そのなかでも規格や出荷量も定められてしまっているため、残りはごみとなってしまっているのが現状です。
もちろん産業廃棄物として捨てるにもお金がかかり、捨てるための労働力も働くため人件費もかかってきます。実際私の実家も専業農家をしており、小さなころからフードロスを目の当たりにしていたため、周りの友人や知り合いよりも深く考えることが多くありました。
そこで取り入れたのは、生産者と個々での取引でB品または加工でもお店では売れないけどおいしく食べられる食材を、私たちは正規品の価格よりも安く仕入れ、多くの地元食材を使ったお料理をお客様に提供できる。また、生産者さんの情報もお客様にPRできる。生産者の方も少なからず収入の一部になるという仕組みです。フードロスを身近に感じる環境にいるからこそ、食の循環システムを、様々な農作物を作る生産者さんたちと繋がり、茨城町、茨城県内の食材の豊かさとおいしさを伝えていきたいと思っています。
他にこの寒い時期のカフェ店内では自分たちで作る薪を使って、ストーブやピザ窯に用いて里山循環をしています。
環境に配慮し、テイクアウト容器やカトラリーは、できるだけ紙製・木製にするなど、脱プラスチックを心がけ、キャンプ場同様、食器洗剤は自然由来のヤシの実洗剤を使用など、自分たちでできる取り組みをしています。
時間をかけてではありますが、ラジオや新聞、雑誌掲載などのメディアにも取り上げられ、定期的に通ってくださるお客様や、大口でお弁当注文を下さる団体様も増えてきました。
多くのお客様が“特に野菜が美味しい“、普段野菜を食べないお子様のご両親が”ここの野菜はおいしくて食べられる“と言ってくださるので、私たちの想いや地元食材の魅力を料理を通じて、お客様に伝えられていることを実感しています。
フィールドについて

フィールド内には農園、園芸のスペースを設けており、ここでは農薬を使わず野菜、果物、ハーブ、お花を育てています。無農薬のメリットは、安全性が高く、本来のおいしさが味わえることです。また、栄養価に優れ地球環境にも優しいという面があります。もちろん使わないことで、野菜や果物でいえば不揃いになりやすかったり、虫がつきやすかったりとデメリットも出てきますが、大半はカフェでの使用が多く、加工し調理するため、問題はありません。
畑では主に大豆、ジャガイモや夏野菜、イチゴ、ブルーベリーを栽培し、カフェの食材やNPO環~WAでの味噌作り体験、じゃがいも掘り体験など、お客様巻き込んでイベントを行うこともあります。栽培するハーブの種類は多く、納屋caféでは香りづけやデザートの飾り、季節で登場するハーブティーに使用されています。種類によって効能が変わりますが、主な働きとして、【自然治癒力のサポート】【アンチエイジング】【植物美容】【栄養素の補給】【デトックス】があり、体の巡りをよくするもの、体の循環を担う食材として使用しています。
またフィールド全体、除草剤を使わず管理をしています。暖かい季節になると雑草の伸びが早く、定期的に草取りや草刈り作業を行う必要があります。もちろん時間やお金、労力がかかりますが、キャンプ場、カフェともにお客様の中にはお子様も多いため、安心な環境作りにも力を注ぎ、一部の草取りをシルバーさんに依頼し経済循環も行っています。
弊社では、各事業の取り組みや思いから様々な循環を作り上げています。結果として、物事を循環させることで今後の課題や評価がつき、スタッフ自身のモチベーションややりがいにも繋がっています。里山循環や環境保全にゴールはなく、小さなことから大きなことをいかに地道に続けていけるか、またその意識をより多くの人に伝え、広め、実践し、そこでも継続していけるかが環境保護における課題であり、私たちの会社としての役割の一部であり目標でもあります。
私たちの取り組みや思いから環境について関心をもち、SDGsに向き合うきっかけになればいいなと思います。